[レポート] CEDEC+KYUSHU 2019 基調講演 ヨコオタロウへの質問と即興シナリオ
CX事業本部の夏目です。
今日はCEDEC+KYUSHU 2019に行ってきたので、そのレポートです。
まずは基調講演 宇宙で2番目にダメなゲームの作り方
ということでヨコオタロウさんの講義です。
スピーカー, モデレーター
- モデレーター
- 松山 洋
- サイバーコネクトツー株式会社 代表取締役
- スピーカー
- ヨコオタロウ
- 株式会社ブッコロ 代表取締役社長
ヨコオさんはいつものエミール顔 (二代目らしい)。
顔出しNGにしているのは、自身が裏方の人が見えるのが嫌だから。
ちなみにこのあとエミール顔は外していた。
ヨコオタロウへの質問
現場クリエイターからの質問にヨコオさんが答えるという形式で内容で進められた。
回答をメモしているので箇条書きで記述する。
企画の初期構想をどうやって固めてますか? どういう所から着想を得てますか?
- クライアントからの依頼で決まる
- 考えたことを後でひっくり返されるのは嫌
- だから要件を出してもらう
- 要件が出てくれば色々と空き地が生まれるからそこで工夫する
- 最初が肝心
まさかのクライアント主役宣言。
有名な人からのこの発言は最初驚きました。
『ニーア オートマタ』のシナリオを作る際、どのような事を考えながら作りましたか。
- 前作からのユーザーも新規のユーザーも楽しめるように作った
- 前作からのユーザーには惑わせるような仕掛け
- 新規のユーザーは普通に楽しませる
- シーンに使える時間に合わせてシナリオを考える
- (ヨコオさんは)シナリオが遅い
- 先にステージ設定, ボス設定を決めてモックを作る
- その後に使える時間を考慮してシナリオを作る
ニーアオートマタは、自分は前作をやったことない状態でプレイしたので、普通に楽しかったです。
前作やってたらどんな印象を受けたんだろうなぁ。
マルチシナリオのエンディングを考えるときに気を付けていることは?
- 何も考えていない
- AもBも同じでもいいんじゃない
- (今は違うけど)これもお金のせい
- 昔はプレイ時間が価値だった
- だから、マルチエンディングを周回してもらってプレイ時間を稼いでた
制作側から見てプレイ時間が大事だったって初めて知った。
マルチエンディングで周回するのは制作側の意図通りだったみたい。
見ないとが気になるから仕方ないよね。
世界観・設定についてプロジェクトメンバーと認識を共有する際に工夫していることは?
- 自分はない
- 松山さんからのツッコミ
- テキストで書いてることが全てじゃない
- そこを言葉で雄弁に語る
- それによって補足する
- 質問されたりしないの?
- そもそも聞かれない
- どっちかって言うと、デザイナーさんやプログラマーにこうやってって指示を出す
- 個々人のタスクとして割り振る
- 松山さんからの再度ツッコミ
- デザイナーさんから来たものとかプログラムとかがっちゃんこしたときに違うなぁってならない?
- ならない
- 大事なところに指示を出している
- タスクの詳細には気をつけている
自分もなんか違くない?ってなるんじゃないかなぁと思った。
実際どうなのかちょっと気になる。
「遊び」をディレクションする上で大事にしている事は?
- (ディレクションから入ったから)ゲームデザインはよくわからない
- 自分ができないことを理解して、人に投げる
ディレクターとして決断を迫られた際に判断基準として最も重視することはなんですか
- お客様(ユーザー)ファースト
- そうしたい
- そうしたいけど、想像上の存在だから自分の判断になっちゃう
- だから、自分のやりたいことが一番大事
- 松山さんからの質問
- どうすれば身につけらるだろう
- 自分がどうやりたい、これは嫌だなと考える
- 自分はあまりゲームをしない
- 少ないゲームを遊んでより深く考える
- 伝えたい本質的な意味とか、こうした方がいいことないか、とか
ゲーム制作ではゲームデザインよりもキャラクターアート(見た目のデザイン)から開始することはありますか? ヨコオさんは同時に決めますか? キャラクターアートがきてからキャラクターの中身を決めるということはありましか?
- アートが来てから決めることが多い
- デザイナーが作ってるから修正が難しい
- 重視する
- 必要ならアートに指示を出すこともある
- オートマタはデザイナーの参加が遅かったから指示が多くなった
- デザインが統一されていることを重視する
プログラマーとデザイナーでコミュニケーション齟齬が発生しがちです。プログラマー的な常識とデザイナー的な常識が食い違っているのが原因です。ヨコオさんはどのように意見をすり合わせて落とし所を見つけていますか。
- 見つけない
- 言い争うところには基本入らない
- 自分たちでやれ
- 揉めたいって部分もある
- 見つけてくれと言われれば、どっちの方がいいと言うことはある
- 人は自分の枠組みや境界線を持ちたがる
- 境界線が強い人がいると相容れないことがある
- プログラマーとデザイナーが別部署だと起こりがち
- プログラマーとデザイナーが同じチームの場合はチーム間で起きたりする
[緊急企画] 即興シナリオ
福岡を舞台にゲームのシナリオをその場で考えるという企画。
流石に全部を書くのは大変なので、シナリオを書いてる最中に言っていた大事にしているように感じたことを列挙する。
- ただ強くなりながら進めているだけではつまらない
- 憎たらしいやつを殺すだけじゃあ感情移入してもらえない
- ゲームとして戦ってエリアを進んでいくだけではつまらない
- それぞれのエリアに行く理由が必要
- 最初にパーティキャラが決まるのではない
- やりたいシーンが先にあって、そのためにシーンの前が決まる
- (シナリオの)後ろから書いていく
ちなみにヨコオさんは秀丸を使用している。
アウトラインが(右側に)表示されてジャンプができるし、アウトラインを移動させると文章も移動するのがいいらしい。
今回聴講している学生へ伝えたいことや是非、やっておいてほしいことはありますか?
- 斎藤陽介さん (会場に居たが、ヨコオさんから斎藤さんへの質問あり前に出てきていた)
- 働き始めると本当の意味での勉強ができなくなる
- 時間のあるうちにたくさん勉強しておく
- (聴講している学生は)これからのエンタメを支えるメインの人間になる
- 楽しいなと思えるゲームを作って欲しい
- レディープレイヤーワンの世界を熱望している
- ヨコオさん
- たとえ話だけど、
- 若者はスマホでニュースを見ている
- 新聞を自分で買っている人はあまりいない
- 新聞が好きな人もいて、スマホじゃ小さいと思ってるかもしれない
- 若者も見えない囚われ、定義にハマっているのではないか
- 慣れているものが正しい
- 自分が間違っているのかもしれない
- 自分がわからない人たちの行為を想像する
- わからない友達、理解できないクラスメートをちょっと想像すると将来のクリエイティブに役に立つ
まとめ
以上、CEDEC+KYUSHU 2019の基調講演のレポートでした。